2.27.2013

音楽にまつわる雑感

恐らく1年くらい前に書いたブログ記事ですが、ちょっと内容的にネガティヴな感じもして、アップするのためらっていたのですが、ふとしたキッカケで見つけ改めて読んでみると、内容的には意外に悪くないので改めてアップしようかと思います。

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今年はTwitterに加え、FacebookやGoogle+などSNSが大流行りで、ブログを更新する方にいまいち労力を割けていませんでした。ボソッと書く事に慣れてしまうと、キチンと文章を書く事が下手になる気がします。かと言って、そもそも日記も書いた事がないのに、今更って感じもありますが。

今日はここ暫くいろいろ思うところについて書こうかと思います。

僕のサラリーマン歴は、今年で早24年目です。前の会社で5年ちょっと、今の会社で18年半勤めた事になります。僕がサラリーマンになったのはバブルがちょうどはじけたと言われた頃。とは言えまだまだ景気は良く、実感としてはバブルもよくわからないけど、不景気というものもいまいちわからない時代でした。その後、今の会社に転職し、音楽業界に身をおいたのは、音楽業界が絶好調の頃。特に洋楽は全盛で、マライア・キャリーがミリオンを売るような時代でした。しかしその後、音楽業界も傾いていき、今やどこに底があるのかわからない不景気の闇に落ちて行くばかり。

先日、NYのオフィスに勤務していた日本人の友人が会社を辞めるとメールがありました。協業、合併、買収、激動のアメリカ音楽業界で18年勤務した実績は素晴らしい。しかし、最近またレーベルをたたむなど、不穏な動きがあると思っていたところで辞めるというのは、何らか会社都合の動きもあったんだと思います。

先日AppleがiTunes in the Couldと言う新しいサービスを発表しました。GoogleはGoogle Musicと言うサービスを、Amazonも同じようなサービスを開始しています。ソニーもUSではQriocityと言うクラウド型のサービスを開始しました。

しかし、これらは本当にユーザーが望んでいるサービスなのでしょうか?

日本以外の国では既に音楽配信サービスがパッケージの売上を上回っています。これは仕方ないと思います。音楽を楽しむメディアは、SP、EP、LP、テープ、CDと変化してきましたし、今後も変わるかもしれません。そもそも、海外ではCDの価格が安い、新譜では$18.99くらい、カタログでは$9.99とかざらです。日本円にしたら(異常な円高ではなく換算すると)新譜は2,000円弱、旧譜は1,000円程度と言うことになります。iTunesではどうか?これはもう皆さんご存知の通り、1曲$0.99ですから、新譜でもカタログ価格と言っていい安い価格です。つまりこれで売上が何割か下がる。しかし、デジタルのダウンロード販売に慣れてくると、今度はYouTubeとの差がよくわからなくなってくる。iPhoneやAndroidが普通になってくると、ここでいつでも手元でYouTubeを見たり聴いたりできると、お金を出して買うと言う行為がバカバカしくなってくる。そして、ますます音楽は売れなくなる。

でも音楽を聴く喜びって何だったんだろう?

音楽は心のビタミン剤、なんて言葉があった気がする。落ち込んだ時、悩んだ時、迷う時、音楽に励まされ、勇気づけられ、頑張ろうと言う活力を与えてくれた。音楽はアーティストがマスに向けて発信するものだけれど、受け取る側は非常にパーソナルなものとして受け取るのです。極端な話、自分のテーマソング化されるのが音楽の宿命なのです。

そして、そんな音楽の魅力は、歌詞であり、曲であり、サウンドでもあるのです。良い音で聴くことは実に重要。

かつてラジオは音楽情報を得る素晴らしいソースだった。でも、ラジオで一回聴いただけで満足はできなかったから、繰り返し聴きたかったから、そこでいいと思った曲やアルバムはLPやCDで買ったものです。良い音で、繰り返して聴くために。しかし、クラウドサービスもまたラジオのようなサービスです。オンデマンドで好きなものは聴けるかもしれない、しかしその程度のサウンド(音質)で良いんでしょうか?大事な感動が薄れているかもしれない。逆にラジオの様な新しい発見も無いかもしれない。セグメントされたマーケティングの中にサプライズってあるんでしょうか?

毎日レストランで食べ放題のビュッフェ食べたいですか?

音楽だって聴き放題と言われて嬉しいのは最初だけ、結局聴きたい音楽があれば良いんです。音楽は無くならないと言われていますが、売上は底なしに落ち続けています。限りなくシュリンクするでしょう。

レコード会社、オーディオ機器メーカーも努力しないといけません。CDのように、自分が購入した音楽を、自宅でも車でも出先でも気軽に、良い音で聴けるような環境をお客様に提供しないといけない。

ネットは便利だけど、社会構造や経済構造まで変えてしまった。でもそれは、ネットの不完全さが引き起こす悪い面も含まれていて、これをキチンとしたバランスの社会に戻すにはまだ相当な時間を要するでしょう。パソコンの進化が遂に減速したように、デジタルの進化速度がいつの日かちょっとゆっくりになるまでは、この状況は変わらないと思うし、それまでに音楽産業が破壊されないコトを祈りつつ…

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